抄録
喘息治療薬であるオマリズマブ (抗IgE抗体) を投与し、気管支喘息に合併する好酸球性中耳炎・副鼻腔炎に効果を示した症例を経験した。症例は72歳の男性で、64歳から左好酸球性中耳炎に対してステロイド鼓室内注入を行っていた。当初は局所への注入のみでコントロールは良好であったが、次第に耳漏、耳痛、肉芽形成などを繰り返すようになり、頻回の処置を必要とするようになった。しかし、オマリズマブを投与開始するとその直後から好酸球性中耳炎は改善したため、ステロイド鼓室内注入は不要となった。投与開始後2年以上経過した現在に至るまで経過は良好である。本症例の経過を述べるとともに、好酸球性中耳炎の病態および抗IgE抗体が効果を示した機序について考察した。