抄録
進行した蝸牛型耳硬化症、あるいはvan der Hoeve症候群が原因で高度の難聴となり、人工内耳埋め込み術を施行した12症例の治療成績を報告した。12症例のCI-2004の文の平均正答率(91%)は、他の原因で人工内耳手術を施行した症例(78%)にくらべ良好であった。また顔面痙攣の合併症は12症例中1例のみであった。以上より、両疾患で失聴した患者への人工内耳治療は有効であると思われる。この成績を踏まえ、さらにCTによる画像診断の分類、気導骨導差も加えて、補聴器、アブミ骨手術、人工内耳手術の治療方針決定の流れを提案した。今後、わが国でも多施設からの日本語音声による評価成績を集めて、高度難聴を呈する両疾患に対する治療ガイドラインを作成することが望まれる。