抄録
好酸球性中耳炎は、好酸球が豊富な中耳貯留液を伴い、感音難聴を高率に引き起こす難治性中耳炎として知られている。今回の検討では、我々が最近になり新たに作成した好酸球性中耳炎のモデル動物を用いて、内耳障害を明らかにするために組織学的な検討を行った。モルモットを対象として、卵白アルブミンの腹腔内投与による感作と、経鼓膜的な中耳腔内注射により中耳粘膜への刺激が行われた。
蝸牛の外リンパに浸潤する好酸球数は、卵白アルブミンの経鼓膜的注射の期間が長くなるほど増加していた。さらに、28日間の中耳OVA刺激により、コルチ器、基底板、血管条の著明な形態学的障害が観察された。これらの結果により、内耳の好酸球性炎症が高度難聴の原因となることが示唆された。