Otology Japan
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教育セミナー3
先天性難聴の遺伝学的検査の位置づけ
石川 浩太郎
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2015 年 25 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

感音難聴は先天性障害の最も多い症状の一つである。しかし、感音難聴に関連する遺伝子は100以上存在すると言われており、個々の感音難聴患者の原因遺伝子を同定することは困難であった。宇佐美らがインベーダー法という日本人に頻度の高い13遺伝子46変異の網羅的解析を行う検査法を確立し、2012年から健康保険の対象となっている。この方法で同定されなかった場合は、共同研究による追加検査が可能である。先天性難聴の遺伝子診断を行う際は、遺伝カウンセリングの実施と書面での同意書の取得が重要である。難聴遺伝子検査の結果説明において不適切な対応がなされている症例が散見されており、実施する耳鼻咽喉科医師は、十分な知識と責任を持って取り組む必要がある。遺伝子診断は難聴を診療する上で非常に有用なツールであり、今後の原因別個別化医療の発展のためにも、難聴遺伝子検査が進歩し、普及することを期待している。

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© 2015 日本耳科学会
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