Otology Japan
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原著論文
好酸球性中耳炎の治療経過中に消化管穿孔を伴うEGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)を発症した一例
吉田 知彦多田 剛志海邊 昭子穴澤 卯太郎蓮 琢也吉村 剛田中 康広
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2015 年 25 巻 5 号 p. 787-793

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抄録

近年、成人の難治性中耳炎の原因として好酸球性中耳炎やANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の存在が指摘されている。今回我々は、好酸球性中耳炎確実例と診断した症例の治療経過中に消化管穿孔を伴う好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)を発症した一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

症例は気管支喘息を有する40代女性。好酸球性中耳炎確実例と診断し、外来加療を行っていた。経過観察中に四肢の異常感覚、疼痛を自覚し、好酸球数の異常増加と発熱も認め、EGPAを疑い入院加療となった。入院7日目に消化管穿孔による汎発性腹膜炎を発症し、緊急小腸部分切除術が施行された。その後の小腸の病理所見よりEGPAとの診断に至った。

本症例のように好酸球性中耳炎の診断基準を満たしていても最終的にはEGPA型のOMAAVとの診断に至る症例が存在する。好酸球性中耳炎と診断しても、EGPAの可能性を常に念頭に置いて診療に臨むことが肝要である。

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© 2015 日本耳科学会
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