2016 年 26 巻 1 号 p. 1-6
好酸球性中耳炎は難治性中耳炎であり、代表的な治療としてステロイドの鼓室内注入がある。今回、アスピリン喘息を合併する好酸球性中耳炎症例に対し、ケナコルトA®の鼓室内注入を行い、アナフィラキシーを呈した症例を経験したので報告する。症例は72歳、女性。10年前から難治性耳漏に対しケナコルトA®の鼓室内注入を定期的に施行していた。今回、外来にて注入を行った直後から呼吸困難などのアナフィラキシーを呈した。本稿では、アナフィラキシー発症の機序について若干の文献的考察を加えて報告する。