Otology Japan
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原著論文
両側アブミ骨奇形を認めたKlippel-Feil症候群の一例
竹内 万彦北野 雅子坂井田 寛増田 佐和子
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2016 年 26 巻 5 号 p. 650-656

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抄録

Klippel-Feil症候群は、短頸、後頭部の毛髪線低位、頸部の可動域制限を3徴とし、約8割に聴覚障害が合併する。両側アブミ骨奇形に対しアブミ骨手術を行った症例を経験した。症例は10歳男児で主訴は両側難聴である。初診時、標準純音聴力検査では、気導閾値右76.7dB、左70.0dB(3分法)の両側混合性難聴であった。非良聴耳の右耳について試験的鼓室開放術を行った。キヌタ骨長脚短縮、アブミ骨欠損、卵円窓閉鎖、顔面神経走行異常を認め、stapedotomy-Mを行い、聴力改善が得られた。術後一過性の顔面神経麻痺がみられた。反対側でも同様な耳小骨奇形がみられ、stapedotomy-Mを行ったが、ワイヤーをツチ骨柄に締結できず、ツチ骨頸に締結した。術後聴力改善はみられたが、気骨導差が残存した。本症候群では多彩な奇形を合併するため、副損傷に十分留意し、聴力改善手術に臨む必要がある。

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© 2016 日本耳科学会
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