2017 年 27 巻 1 号 p. 37-41
2006年に初版が発表された小児急性中耳炎診療ガイドラインは現在改訂作業が進行中である。このガイドラインは小児急性中耳炎の難治化を背景に、推奨する診断法、治療法を実地臨床家に提供してきた。その成果は、難治化の重要な原因である薬剤耐性肺炎球菌の減少、難治化の改善として表れている。次期改定では、症状と鼓膜所見から重症度を決定する、重症度に応じた治療を推奨する、アモキシシリンを第一選択抗菌薬とするなどの基本的な方針に変更はない。従来版の課題として、1ヵ月以内に急性中耳炎や滲出性中耳炎などの中耳病変を有した症例がガイドラインの対象外であった点が指摘されている。さらに、ガイドライン作成法の進歩に対応したガイドライン作りが求められている。ガイドラインは現在の患者ばかりでなく、将来の患者にとって有益でなければならない。抗菌薬の適正使用の普及は変わらぬ使命である。