Otology Japan
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原著論文
鼓室内の鼓膜換気チューブ遺残が原因と考えられたコレステリン肉芽腫症の一例
濱口 宣子伊藤 由紀子北野 雅子坂井田 寛竹内 万彦
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2017 年 27 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

鼓膜換気チューブは滲出性中耳炎の治療として汎用されているが、鼓膜穿孔や鼓室内への脱落などの合併症が知られている。今回耳漏が続くために手術を行ったところ、中鼓室に鼓膜換気チューブの遺残がみられた症例を経験した。症例は21歳男性で主訴は右耳漏である。4歳の時に鼓膜換気チューブ留置術を受けた。当科受診約10か月前に右滲出性中耳炎に対して、近医にて右鼓膜切開術が施行されたが、その後右耳漏が持続し鼓膜に隆起性病変が生じたため、当院に紹介となった。鼓室形成術および乳突削開術を行ったところ、乳突洞内にはコレステリン肉芽腫が充満しており、中鼓室内には炎症性肉芽を認め、中鼓室前方には鼓膜換気チューブの遺残を認めた。肉芽とチューブを摘出し、術後耳漏は停止した。術後6か月後の側頭骨CTにて右鼓室と乳突腔は含気化していた。本症例でのコレステリン肉芽腫を発症した機序を考察した。鼓膜換気チューブの経過観察は責任を持って注意深く行うことが重要である。

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