Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
原著論文
鼓膜穿孔に対するover-underlay法の有用性
田中 康広大村 和弘蓮 琢也海邊 昭子深美 悟春名 眞一
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 27 巻 3 号 p. 173-178

詳細
抄録

Over-underlay法は比較的新しい鼓膜形成法ではあるが、本邦での報告はほとんどない。今回、2014年から2015年の2年間に当教室で施行したover-underlay法の術後成績に関し、穿孔閉鎖率、聴力改善成績、術後合併症の観点より検討を行った。対象は52例であり、手術時年齢は8歳から74歳までの平均46. 5歳であった。術後12ヶ月における穿孔閉鎖率は96. 2%であり、鼓膜穿孔の大きさと穿孔閉鎖率には有意な関係は認めなかった。日本耳科学会の術後聴力成績判定基準(2010)に基づいた聴力改善率は全体で90%であった。鼓膜穿孔の大きさおよび耳小骨再建方法は聴力改善成績に影響を与えなかった。また、鼓膜の浅在化をはじめとする重篤な合併症は1例も見られなかった。

Over–underlay法は手術成績が良好で合併症も少なく、慢性化膿性中耳炎や外傷性鼓膜穿孔などの鼓膜穿孔に対して理想的な術式と考えられる。

著者関連情報
© 2017 日本耳科学会
次の記事
feedback
Top