Otology Japan
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原著論文
酵母様真菌Stephanoascus ciferriiによる外耳道炎の1例
田口 大藏福島 慶中谷 宏章
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2018 年 28 巻 5 号 p. 693-696

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抄録

Stephanoascus ciferriiは人獣共通感染症の起炎菌の1つであるが、耳鼻咽喉科領域における報告は極めて稀である。症例は70歳女性で、50歳頃から右慢性中耳炎のため、近医耳鼻科に通院していた。当科受診の1ヵ月前頃から右耳掻痒感が出現した。右外耳道炎との診断で治療を受けていたが改善しないため、当科を受診された。右外耳道に発赤・湿潤を認めたため、同部位を擦過し、培養検査に提出した。菌種の同定検査を実施し、S. ciferriiと同定された。薬剤感受性検査の結果、本菌はフルコナゾール(FLCZ)とフルシトシン(5-FC)に対して耐性化傾向が認められた。そのため、塩酸テルビナフィンで治療を行い、右外耳炎は軽快した。抗真菌薬の投与にも関わらず治療に抵抗する場合や、高齢者や免疫不全患者の中耳・外耳真菌症では、本菌の可能性も考慮して培養検査や抗真菌薬の選択を行う必要があると考えられた。

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© 2018 日本耳科学会
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