Otology Japan
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シンポジウム4
聴神経腫瘍診療における「早期発見,早期治療」
―小・中型腫瘍に対する聴力温存手術の役割
大石 直樹細谷 誠野口 勝西山 崇経鈴木 成尚粕谷 健人鈴木 法臣宮崎 日出海小川 郁
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2019 年 29 巻 3 号 p. 211-214

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抄録

MRIの普及に伴い,より小・中型の聴神経腫瘍が診断される機会が増えてきている.「早期発見」によって,聴神経腫瘍における疾患予後である「腫瘍の大きさが制御され,より良好な機能が温存される」症例の増加が期待される.疾患の自然経過を踏まえたうえで,「早期治療」をすべき症例を選別することが重要である.当科では,聴力温存・経側頭骨手術である後迷路法に近年取り組み,精度の高い術中持続神経モニタリングを併用し約4年間で施行した聴神経腫瘍手術は68例であり,その6割で後迷路法を施行した.後向きの検討から,術前ABR/DPOAEの結果により,より高い確率で聴力温存を果たし得る症例を選別できることが判明した.現在当科では,将来的に聴力を喪失するあるいは腫瘍が増大する可能性が高いと判断される症例に対し,小腫瘍あるいは聴力が比較的良好な段階で聴力温存手術を施行する治療プロトコールを採用し,聴力温存率の向上に取り組んでいる.

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© 2019 日本耳科学会
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