Otology Japan
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シンポジウム2
軟骨伝導補聴器,埋め込み骨導補聴器と人工中耳,各デバイスに関する総論
―デバイス使用に関するアルゴリズム提案―
神崎 晶
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2022 年 32 巻 3 号 p. 283-287

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抄録

伝音難聴や混合性難聴に対して,さまざまな医療機器デバイスが開発されてきた.2021年には埋め込み補聴器であるBone anchored hearing aid(BAHA)も適応が拡大され,同年秋には,皮膚上に貼付するAdhear(アドヒア)や埋め込み補聴器であるBone Bridgeなどが国内で承認された(以下は略)

従来からある骨導補聴器や聴力改善手術に加えて,さらに選択肢が増えたという点で喜ばしいことである.

従来の骨導補聴器は以下のような欠点があった.1)耳周囲の皮膚に振動子を当てるため,皮膚や皮下組織に振動エネルギーが吸収されて伝音効率が悪い.個人差と周波数によっても差があるが10–15 dBの損失があり,特に高音域では加振力不足が生じる1)こと,2)強く押し当てる必要があるため装用には痛みを伴うこと,これらの短所を補うべく新しいデバイスには改良が加えられている.

ただし,各デバイスにも長所短所があることや適応もオーバーラップしていることから,各デバイスを用いた治療を整理して考える必要があり,当然のことながら,患者にもわかりやすく提示したうえで選択してもらうのが望ましい.以上の点をふまえて本稿では各デバイスの特徴をまとめ,アルゴリズムを提案する.

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