Otology Japan
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原著論文
中耳進展をきたした頭蓋内髄膜腫の2例
竹川 葉奈福田 篤森田 真也干野 季美子本間 明宏
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キーワード: 中耳腫瘍, en plaque型, CT, MRI
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2024 年 34 巻 3 号 p. 158-166

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抄録

中耳進展をきたした頭蓋内髄膜腫の2例を報告する.症例1:74歳女性,主訴は左難聴.左鼓膜に腫瘤が透見され,CTで左鼓室天蓋の骨肥厚と中耳軟部陰影を認めた.T2強調MRIでは頭蓋内病変は認めなかった.摘出術を施行し,髄膜上皮性髄膜腫の診断であった.術後,造影T1強調MRIで左中頭蓋窩硬膜に造影効果を認め,診断は左中頭蓋窩原発のen plaque型髄膜腫の天蓋骨浸潤,鼓室内進展だった.症例2:50歳女性,主訴は右難聴と右耳鳴.右鼓膜に腫瘤が透見され,CTで右中鼓室に軟部陰影,造影T1強調MRIで小脳橋角部から頸静脈孔周囲に均一な造影効果を示す腫瘤性病変を認めた.中耳生検の結果,右小脳橋角部から頸静脈孔に至る髄膜上皮性髄膜腫の鼓室内進展の診断であった.側頭骨髄膜腫は稀だが,中耳腫瘍を疑う場合,髄膜腫に特徴的なCT所見を見逃さないことが肝要である.また,en plaque型髄膜腫の同定にはCTや単純MRIだけではなく,造影MRIが必要である.

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