2023 年 1 巻 p. 34-45
障害者権利条約が批准され、障害者基本法や障害者差別解消法など国内の障害者の人権に関する法整備が進んでいる。障害の社会モデルとは、障害を個人の心身機能の問題でなく、社会の障壁と相対することで生じると考える。そのような中、障害者差別解消法では、不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供が定められている。合理的配慮の提供に際し、代替え措置の選択も含め、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応するとして、双方の建設的対話の重要性が指摘されている。学生の支援には教育的支援と合理的配慮があり、教育的支援とは学生本人の能力の向上に資するもので、合理的配慮とは教育環境の変更・調整をもって対応するものである。合理的配慮の実践として、教職員による支援には、履修クラスの調整(たとえば移動時教室を配慮)、講義室の調整、着席場所の調整(出入りの配慮、視聴への配慮)、データ化した講義資料の提供、履修科目の教員に対する配慮要請(定期試験含む)(時間の延長、PC利用等)、支援員勤務体制の調整、正課外活動に係る支援の調整(ガイダンス合宿)などがあげられる。