2003 年 72 巻 1 号 p. 27-30
超伝導体二ホウ化マグネシウム(MgB2)は金属系超伝導体では最も高い臨界温度(Tc=39K)を示すことから,種々の応用を見据えた研究が数多くなされている.本稿では,エレクトロニクス応用をめざしたMgB2の低温成膜とジョセフソントンネル接合の作製について紹介する.MgB2薄膜はカルーセル型多元同時スパッタリング装置によりポストアニール処理を用いずに成膜された.サファイア(C面)基板上に基板温度約250°Cで成膜したMgB2薄膜は約28KのTcを示し,薄膜表面のモホロジーは非常に平滑であった.また,この薄膜を下部電極に用いたMgB2/AlN/NbN接合を作製し,良好な準粒子,およびジョセフソントンネリング特性を確認した.