2005 年 74 巻 4 号 p. 462-471
“みらくる6X”は卓上型高輝度X線発生装置である.シンクロトロンの電子軌道上に微細ターゲットを置くという方法で,低エネルギー,常電導,超小型シンクロトロンであるにもかかわらず高輝度硬X線ビームの発生に成功した.光源点の大きさは,電子ビームのサイズではなく,ターゲットサイズで決まるために,最小といってよい1 μmΦ という断面の光源点が実現した.微少光源点の“みらくる6X”はきわめて高品質のX線を発生している.結果として,例えば,試料と検出器の間を離すだけで10倍の鮮明な拡大写真を位相コントラストで撮像することができ,1mmがん形状までをとらえることができた.本稿では,“みらくる6X”の原理,X線特性について述べるとともに,X線顕微鏡,たんぱく質構造解析,X線リソグラフィーなどの取り組みの現状を述べる.