2006 年 75 巻 11 号 p. 1371-1376
原子レベルやナノスケールレベルにおける物質の基本法則である量子力学(第一原理)に基づいて,原子番号だけを入力パラメーターとして,物理機構解明や物性予測を行う第一原理計算について解説する.また,得られた物理機構や物性予測を統合することによる,新機能物質や新規ナノ超構造の計算機ナノマテリアルデザイン手法についても解説する.半導体ナノスピントロニクスを例に,強磁性機構の解明,キュリー温度の高精度予測,室温強磁性のマテリアルデザイン,さらには,次元性を制御したナノスケール・スピノーダル分解による自己組織化を利用したテラビット密度のナノ超構造強磁性半導体のプロセスデザインを紹介し,その有効性と潜在力を明らかにする.