応用物理
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基礎講座
大気環境計測3
−PIXE法を用いた環境汚染監視システム−
石井 慶造
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2009 年 78 巻 7 号 p. 692-696

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抄録

陽子線励起X線を用いた元素分析法は,バックグラウンドが低く感度がよいため,さまざまな分野に用いられている.この分析法はPIXE法と呼ばれ,多数の試料を短時間で,しかも多元素を同時に分析できるため,非常に数量が多い環境試料の分析にも向いている. 室内の大気浮遊塵を一定時間間隔で採集し元素濃度変化の時間変化を測定した結果,土足厳禁の部屋は土足使用の部屋に比べ,5倍大気浮遊塵が多くなることがわかった.また,風向情報を用いると大気汚染源を同定でき,個々の黄砂粒子を分析することにより,有害黄砂を検出できることがわかった.さらに,河川水を多地点採集して分析することにより,金属元素の河川水による希釈効果が調べられることがわかった.このように,PIXE法を用いた環境汚染監視システムは,非常に有用であることがわかった.

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© 2009 公益社団法人応用物理学会
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