2010 年 79 巻 9 号 p. 832-835
微細加工や薄膜堆〔たい〕積〔せき〕に用いられるプラズマプロセスの進歩が半導体デバイスの微細化・高集積化を促進してきたといっても過言ではない.しかし,ナノ領域に突入した半導体デバイスでは,プラズマから照射される電荷や紫外線などによる半導体表面での欠陥生成はデバイス特性を大幅に劣化させる.また,薄膜堆積ではプリカーサ分子のプラズマ中での解離が激しいために堆積される膜の構造を精度よく制御することが難しく,さらにプラズマによる欠陥生成が膜成長を阻害するため,基板温度を400°C 以上に高くして成膜を促進する必要がある.そのため,今後重要となる超微細トランジスタやフレキシブル有機材料基板への膜堆積が難しいなど,多くの課題を抱えている.そこで,プリカーサの解離および表面での欠陥生成を極限まで抑制したうえで,運動エネルギーをもった中性粒子ビームによる表面活性化反応を利用することで低温にもかかわらず良質な薄膜を膜質制御して堆積できる技術がブレークスルーとなる.本稿では中性粒子ビーム励起堆積技術による超低誘電率SiOCH膜形成技術について紹介する.