2012 年 81 巻 3 号 p. 239-243
スピン(磁化)と電荷の相互結合には,従来もっぱら古典電磁気学によるコイルが使用されてきた.スピントロニクスは,量子力学的手法により相互結合効率を飛躍的に向上させるとともに,コイルでは実現できなかった多様なスピン-電荷結合手段を可能にしつつある.これにより,大容量磁気ハードディスクや不揮発性磁気メモリなどが短期間のうちに市場に送り出されたが,更なる新規デバイス創出への期待も強い.ジャンプ編の本稿では,応用の観点から,エレクトロニクスにおけるスピントロニクスデバイスの位置づけと可能性について述べる.