応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
総合報告
大規模災害での情報通信の役割と今後の技術開発
上西 祐司
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2013 年 82 巻 3 号 p. 212-218

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抄録

未曾有の大規模災害となった2011年3月11日東日本大震災において,電力,情報通信,交通網,サプライチェーンなどのインフラが壊滅的な打撃を受け,我々の日常生活を大きく揺るがしたことは記憶に新しい.被災地ではいまだ非難生活を余儀なくされている方も多くあり,2年経た今なお,まだまだ復興途上にあるのが現実である.震災直後は固定系約150万回線以上のサービスが中断し,移動系においても約6700の基地局が機能不全となった.これに対し,NTTグループでは全国から約1万人規模の復旧支援部隊を投入し,通信インフラの早期復旧を図ってきた1).その復旧活動の中で,各地の被害状況の伝達と個々人の安否確認といった情報伝達の最重要性が改めて認識された.本報告では先の東日本大震災を改めて振り返ることで,大災害時での情報通信の役割として最重要事項である情報伝達の確保について考えるとともに,そのために通信インフラとして備えるべき機能・技術について考察する.

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© 2013 公益社団法人応用物理学会
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