2015 年 84 巻 12 号 p. 1097-1100
グラファイトに代表されるsp2炭素からなるネットワーク物質は,原子欠陥やトポロジカル欠陥の導入により容易に磁気的な性質を帯びることが知られている.ここでは,カーボンナノチューブ(CNT)に端やトポロジカル欠陥を導入することにより,磁性CNTが実現されることを量子論に立脚した第一原理計算の結果を基に示す.特に,有限長のCNTと5員環と8員環からなるトポロジカル欠陥を有するCNTにおいて,詳細な原子形状に依存した磁性状態が発現することを紹介する.