2017 年 86 巻 7 号 p. 558-564
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれるアモルファスカーボン薄膜やその関連材料は,優れた耐久性や安価な生産性などによって多様な産業において用いられ,昨今の技術革新の根幹を担っている.DLC膜は,膜中のsp2混成軌道をもつ炭素原子,sp3混成軌道をもつ炭素原子,ならびに水素元素の組成比によってその膜質が大きく影響される.しかし,構造解析が難しく,標準的な評価方法が確立されていないことから,その理解と制御を困難にし,基本的な定義・分類がなされていなかった.本稿では,DLC膜の国際標準規格制定に至る経緯とその骨格となった構造解析方法を概説し,今後の動向を解説する.