2018 年 87 巻 5 号 p. 366-369
パルスレーザー堆積法によって金属ナノピラーがSrTiO3薄膜内部に自己組織的に成長する新奇ナノ構造の作製手法を開発し,水分解光電極の高効率化に応用した.IrドープSrTiO3薄膜中に無数の金属Irナノピラーを含むコンポジット薄膜を作製することによって,円柱状に広がるショットキー接合が導入される.このナノ接合が薄膜内部で発生する光励起キャリヤの電荷分離効率を大幅に促進し,光電極の特性を大きく改善することができた.ナノピラー構造の自発的な形成は,薄膜成長中に相分離を誘発させることでさまざまな材料系に適用できるものであり,新しい機能性デバイス開発への応用が期待される.