応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
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高効率プロトン伝導酸化物薄膜燃料電池の可能性
青木 芳尚
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2020 年 89 巻 4 号 p. 218-221

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抄録

プロトン性固体酸化物燃料電池(H+-SOFC)は中温作動型(400〜600℃)の根量電池として期待されるが,一般に500℃以下になるとオーム抵抗とカソード分極抵抗が増大し,効率が低下する.この問題に対し,近年ヘテロ構造などに基づいた新構造燃料電池が検討されている.ここでは,電解質/水素透過合金アノード‐ヘテロ接合を特徴とする水素透過合金支持型燃料電池(HMFC)が,プロトンポンピング効果により,比較的低い温度でも高いエネルギー変換効率を達成できることを報告する.HMFCでは,ヘテロ界面における酸化物イオン副キャリヤの伝導ブロッキングにより同イオンが電解質バルク中に蓄積し,この負電荷を補償するために過剰なプロトンキャリヤが取り込まれ,その結果高いプロトン伝導性を発現する.したがって,全く同じ電解質膜を使っても,HMFCは多孔質アノード支持型燃料電池(PAFC)より高い出力を生むことができる.

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© 2020 公益社団法人応用物理学会
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