応用物理
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研究紹介
カーボンナノチューブを用いた柔軟性に富む摩擦帯電型エネルギーハーベスタ
松永 正広川口 敦司大野 雄高
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2021 年 90 巻 11 号 p. 684-688

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抄録

摩擦帯電型エネルギーハーベスタは人体の動作などの低周波の運動から発電することが可能であり,自己給電型ウェアラブルデバイスの電源として期待されている.ウェアラブルデバイスにおいては人体の動的な3次元表面に追従する必要があり,高い伸縮性が要求される.本研究では,カーボンナノチューブ薄膜電極を用いることにより,高出力(8W/m2)かつ高伸縮性(35%)をもつシート状の摩擦帯電型エネルギーハーベスタを実現している.誘電体層表面にフッ素プラズマ処理を施すことにより高出力を得た.作製したハーベスタの特徴を生かし,自己発電型信号送信デバイスやLEDを埋め込んだ手袋を実証する.さらに,微小な電力を蓄積して機能デバイスの駆動に有効な電力を実現するための高効率な間欠動作回路の提案と実証も行う.本研究はウェアラブルデバイスの課題である電源の問題に解決の糸口を与えると期待される.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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