応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
解説
超伝導ナノワイヤ単一光子検出器
寺井 弘高
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2021 年 90 巻 3 号 p. 148-154

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抄録

超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)は,紫外~中赤外に感度をもち,通信波長帯で検出効率が90%を超えるSSPDシステムもすでに市販されている.量子情報通信分野を中心に普及が進んでいるが,より幅広い分野への応用に向けて,さらなる高検出効率,低ノイズ,高計数率,大面積を目指した研究開発が行われている.特に,高計数率,大面積を実現するためにはマルチピクセル化が必須であり,極低温環境から効率よく信号を読み出すための周辺回路を含めた技術開発が重要となっている.マルチピクセル化の究極のゴールとして,光子1つひとつを高速に捉える超高感度カメラがあり,10,000ピクセルを超える大規模2次元SSPDアレイを目指した研究開発も行われている.本稿では,SSPDのこれまでの研究開発状況を解説するとともに,マルチピクセル化を中心に周辺技術も交えながら最近の研究開発動向を紹介する.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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