2023 年 92 巻 1 号 p. 41-45
表面分析法は,深さ方向に原子層からマイクロメートルレベルの広いダイナミックレンジを持つ試料表層において,試料の組織や化学組成などを分析する手法である.そのため表面分析は,分析の際の試料処理やデータ解析における分析者の知識と熟練の経験を要し,計測分野の中でもデータ解析の自動化が特に困難な技術の1つとなっています.この困難さを克服してデータ解析の自動化を行うには,熟練の分析者の暗黙知となっている経験をデータ駆動型のアプローチによって明らかにすることが重要となります.本稿では,表面分析法の1つとしてX線光電子分光を対象としたデータ駆動型のアプローチによるデータ解析の自動化の実例を紹介します.