1984 年 53 巻 11 号 p. 916-933
半導体の電子と正孔の挙動は,単にエレクトロニクス外野において重要性をもつにとどまらず,光と組み合わせることによって,優れた化学機能を発揮する.この研究は,1970年代の後半クリーンエネルギー源であるH2発生のための光触媒の開発に端を発している.現在,この化学機能は,光エネルギー変換,無機化合物や挙導体のプロセッシングと表面処理,新しい有機合成法,細胞工学への応用などの諸労野に生かされつつある.さらに,微生物のみが成し得たグルコースからのアミノ酸の合成が,光と半導体によっても可能になっている.このように,半導体光触媒は広い応用分野をもつと同時に,生命の起源の解明にも光を投げかけるであろう.