抄録
高度10kmから600kmの地球低高度軌道上を飛しょうする宇宙機は8km/sの高速で衝突する原子状の酸素のため,その表面が劣化する.しかし,その反応機構はいまだに解明されておらず,表面変化に関するデータも乏しいのが現状である.そのため,原子酸棄流による劣化過程をシミュレートする地上実験設備が切望されている.筆者らは,空洞共振器を用いたマイクロ波加熱型プラズマジェットを原子酸素発生源として利用し,供試体への照射実験,およびその表面分析を行った.本稿では,その興味深い結果を紹介し,マイクロ波加熱型原子酸素源の実用化のための今後の開発指針を述べる.