抄録
量子井戸構造を非共鳴光で励起した時に生じる仮想電荷分極は, 100フェムト秒台の超高速光過程の舞台をわれわれに提供してくれる.その分極は,量子井戸構造という人工的に制御の可能な構造中でマクロなスケールで生じるため,大きな光非線形性,特に,高効率の内部電界変調や第2高調波発生をもたらず.こうした高効率かつ超高速の内部電界変調をもとにした100フェムト秒台の電圧パルス発生は,将来の超高速光エレクトロニクスのために有力な手掛かりを提供するものと期待されている.本解説では,この種の超高速光過程の物理とその応用可能性に関して,努めて物理的イメージをあらわにするようにして議論を進める.