応用物理
Online ISSN : 2188-2290
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人工的な層構造制御による酸化物高温超伝導薄膜の設計
川合 知二川合 真紀
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1990 年 59 巻 5 号 p. 610-617

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抄録

酸化物高温超伝導物質がCuO2平面を基本とした二次元的な層状構造をもっていることから,この構造に従って順次原子層または適当なユニット層で積み上げながら物質を設計・合成する試みが始まった.現状は構造に合った“元素の積み上げ”程度の段階であり,完全な原子層エピタキシーにはまだ遠いが,バルクには存在しない多層CuO2構造の作成,異元素のサイト選択的な組み込みによる超伝導特性の制御,超格子の創製などで興味ある成果が出始めてきた.新しい高温超伝導体の探索・設計,超伝導エレクトロニクスにおけるヘテロ接合作成に新しい道を開きつつある.高温超伝導物質をLayerby-layerに積み上げる人工的な層構造制御は,特定方向に異元素を周期的に並び上げる技術であるとともに,表面科学,結晶成長の新しい分野でもある.

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© 社団法人 応用物理学会
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