電子蓄積リングから得られる放射光は,ふつう分光結晶などによって単色化して利用されることが多いが,そのバンド幅は1~10eV程度である.それに対して,最近,挿入型光源であるアンジュレーターの導入によりX線源がさらに高輝度になり,核共鳴ブラッグ散乱を用いてμeV以下のバンド幅にまで超単色化することが可能になった.ここでは,核共鳴ブラッグ散乱の特徴的な現象,57Feを富化したヘマタイト結晶からの核共鳴ブラッグ散乱の観測例,共鳴核を含む完全結晶,GIAR膜,多層膜などの核モノクロメーターの機能,核共鳴散乱線を利用した研究の展望などについて述べる.