1993 年 62 巻 8 号 p. 814-817
膜成長前駆体の制御によるSi薄膜形成技術に関する最近の研究を紹介する.ArFレーザーにより励起されたSi2H6の超音速フリージェットを清浄Si (100) 表面に照射し,Siの膜成長過程をRHEEDにより‘その場’観察した.形成された薄膜の表面形状をAFM観察し,成長速度はタリステップによる膜厚測定から求めた.基板温度Ts=670°CではArFレーザー励起の有無にかかわらず層状のエピタキシャル成長となるが,Ts=550°Cでは顕著なレーザー励起効果がみられた.すなわち,レーザー励起なしでは島状のエピタキシャル成長となるのに対して,励起されたSi2H6ジェットでは層状のエピタキシャル成長が起こることが見出され,前駆物質の制御による膜成長過程の制御の可能性が示された.