1994 年 63 巻 1 号 p. 23-31
地球全体の環境の変化や気候変動の解明にあたっては,海洋全体を対象とした調査研究が必要との認識が高まっている.しかし,海洋は地球の全表面積の70%を占め,その空間スケールがあまりに広大であるため,観測がきわめて困難である.このような海洋の研究に対し,観測手段としての機動性,広域性,同時性,連続性などの長所を備えたリモートセンシング技術は,非常に有効な手段となる.特にマイクロ波センサーは,従来の波長帯のセンサーと異なる全天候型のセンサーであり,現在,研究段階を経て実用段階へと発展しつつある.本解説では,マイクロ波センサー応用の一例として,レーダー高度計による海流観測とマイクロ波散乱計による海上風観測について述べる.