抄録
脳は学習によって知識情報処理の神経回路を自己形成すると同時に,価値基準の神経回路を自己形成しそのための記憶を蓄える.脳の特徴は,学習によって情報処理の神経回路を自己組織化することと,外部情報を知識情報と価値情報に分けて分析・判断するための神経回路を独立にもち,それぞれが互いにその分析・判断を通して影響し合う構造になっていること,にある.脳は学習によって記憶を形成し,このようにして形成した連想記憶をもとに情報処理を行う.脳はこのような膨大な記憶べ一スアーキテクチャーの非フォンノイマン型コンピューターである.また,価値情報を情報処理に積極的に用いているという意味で非シャノン型コンピューターである.