1994 年 63 巻 12 号 p. 1198-1209
金属人工格子の巨大磁気抵抗 (GMR) 効果について,メカニズムを中心に理論的・実験的研究の現状について説明する. GMR の起源と考えられている,伝導電子のスピン依存散乱の主因,界面の乱れとの相関,温度変化,膜面垂直方向に電流を流した場合の GMR, などの理論的研究について紹介し,実験と比較することでこれを検証する.また,関連としてグラニュラー膜の GMR についても紹介し,金属人工格子膜との類似性について説明する.最後に, GMR効果の背景にある,非磁性層を介した磁性層間の交換結合のメカニズムについても述べる.