応用物理
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ドライエッチングの物理とプラズマ/表面反応
田地 新一
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2000 年 69 巻 3 号 p. 323-328

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抄録

ドライエッチングは,プラズマ化による反応性の高い点や正イオンの垂直入射性が大変好ましい特徴であるが,反応・輸送に関しては, (1) イオン衝撃下の非平衡状態で進むこと, (2) 多種のラジカル・正イオンによる非定常反応であることなど,特殊な点も多い.エッチングでの表面反応の制御は,異方性エッチングに不可欠である.深さ方向のエッチングでは,イオン衝撃が反応性のラジカルとウエハー表強原子との反応を促進する.このイオンアシスト反応では,イオン衝繋の役割がラジカルと表面原子の組合せで異なる.異方性エッチングには適切なサイドエッチング防止方法を選択する必要がある.ドライエッチングの輸送現象では,ウエハー近傍に多量のエッチング生成物の生成を考慮したローカルな反応平衡を考えなければならない.エッチングのエアサーフェス現象である.リアリスティックなイオンアシスト反応では,エッチャントや生成物,レジストの生成物など多種類のラジカルが入射し,表面でヘテロジェニアスな吸着を起こし,そこにイオン衝撃が加わりエッチング反応が進むことになる.このリアリスティックな反応のモデル化により,エッチングレートの理解が進み,アンダーカットの低減方法などが定量化した.しかし,いまだにパラメーターが多く定量的な理解には多くの困難を伴っている、学術的には,解離制御したプラズマ,マルチビームを使った表面反応や超吸着現象の分析,三次元トータルシミュレーションの構築など,新たな研究が必要といえよう.半導体産業で一層の微細化を追求するには,これらの理解とその装置・プロセスへの組み込みが大変重要である.

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© 社団法人 応用物理学会
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