2000 年 69 巻 8 号 p. 913-918
1940年代の米国ではレーダーの開発が国家的な課題となり,その関連で鉱石検波器の特性改良に努力が集中した.一方ベル研究所では,将来の米国社会のために高性能の電話網を作るという課題に挑戦する.そのために真空管を乗り越えて新しい増幅器の発明が必要となった.失敗の連続の後,トランジスタが生まれる.そしてそれは,半導体という未知の材料を物理学的に理解する研究に新しい時代を開いた.電子デバイスの開発と基礎研究,そこから集積回路が生まれる歴史の経緯を述べる.