応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
国家標準に用いられる計測技術
中西 正和
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2001 年 70 巻 6 号 p. 707-713

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抄録

国際的な取り決めにより,抵抗は1990年以降,量子ホール効果抵抗標準で,直流電圧は1977年以降,ジョセフソン効果電圧標準で実現されている.量子ホール効果抵抗標準を使うと,不確かさが1×10-8(0.01ppm) より小さい抵抗測定が可能である.ジョセフソン効果電圧標準でも同程度の不確かさで電圧測定が可能である.一方,操作が簡便なので,抵抗測定や電圧測定によく使われるデジタルマルチメーターには,8けた表示の機種も布販されている.8けた表示の場合,最小表示けたは0.01ppmに相当するが,機能を調整した直後でも,抵抗測定や電圧測定の不確かさは1pp田程度である.きちんと管理している場合でも調整は1年に1回程度であるし,通常の実験室ではほとんど調整しないから,測定の不確かさは10ppmより悪いと考えた方がよい.この解説では,量子ホール効果抵抗標準やジョセフソン効果電圧標準で,1ppmより小さい不確かさで測定するために使われている計測技術について説明する.また,量子ホール効果とジョセフソン効果についても簡単に説明する.

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© 社団法人 応用物理学会
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