オゾン層破壊は多様な化学反応が関連した全地球規模の現象であり,その将来予測のためには宇宙からのグローバルで高精度の観測データが求められる.近年,サブミリ波による分子分光観測は, ClOやBrOをはじめとする大気中の微量分子を測定できる新しい方法として注目されている.しかし,顕著なオゾン破壊が観測されている南北極地域に隈らず,低中緯度地域も倉めて全地球的にオゾン層破壊にかかわる微量分子の動向を知るためには,サブミリ波観測感度の向上が必要である.ここでは,超伝導トンネル接合と4K級の極低温冶凍機を用いた高感度のサブミリ波センサーを宇宙ステーションに搭載し,成層圏大気を観測する試みについて紹介する.