2002 年 71 巻 8 号 p. 1020-1026
バイオテクノロジー (BT) は分子生物学に基づき,生命科学における新知識獲得に基づく頭脳集約的なネットワーク型の産業を創出する可能性を秘めている.生命系はゲノム情報を共通言語とするデジタル情報をもとに,分子レベルでのアナログ情報に変換することにより,増殖,発生分化,環境応答,自己制御などのさまぎまな営み;を行う.先端医療はこのような生命原理の理解に基づき,ゲノム医科学を含む統合型アプローチをめざすものであるが,BTのみの領域にとどまらず,情報科学 (IT), ナノテクノロジー (NT) の協力と融合,それらの研究開発ネットワークを必要とする.生命科学,先端医療におけるNTの意味と重要性について解説する.