抄録
ブラインドフットボールは,1996年に国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)により公認競技として認定されて以降,パラリンピックでの採用や国際大会の開催を契機に世界的に発展してきた.ブラインドフットボールに関する研究では,国際大会におけるシュート傾向や角度・距離の分析(橋口ほか,2013;坂本ほか,2015),中国代表のプレー特性に関する分析(李,2015),シュートの有効性(Puerto et al., 2018),さらには動作パターンやキネマティック特性の解明(Finocchiettiet al., 2019)など,攻撃面を中心とした多様な知見が蓄積されてきた.また,心理的課題やガイドの指示言語に関する研究(橋口,2013;大嶽ほか,2013)によって競技理解の深化が図られている.しかし,サッカーやフットサルでは一般的となっている「試合中の移動速度」を指標とした研究は,十分には行われていない.速度ゾーンを基準とした体力評価・パフォーマンス指標は,選手の特徴把握や戦術分析だけでなく,コンディション管理にも有効である.そのため,本競技に特化した速度ゾーンの設定は,今後の競技力向上において重要な基盤となる.本研究では,日本国内のトップクラブチームを対象にGPSデバイスを用いて試合中の移動速度を測定し,ブラインドフットボールにおける速度ゾーンの基準化を試みることを目的とした.計測データから選手がどの速度帯を多用しているか,競技特性に即した速度指標の有用性を検討した.得られたデータは,競技特性に基づいた速度基準の構築につながり,選手のパフォーマンス評価,戦術的フィードバック,そして科学的トレーニングデザインの策定に寄与する興味深いものであり,これらについて今後の学会において報告する.
本研究は,JSPS科研費17K01740の助成を受けたものです.