抄録
症例は66歳,男性.右鼠径部の膨隆を自覚し,当院を受診した.術前画像診断で両側鼠経ヘルニアと診断し,TEP(totally extra peritoneal approach)法を施行した.しかし,術翌日に右鼠径部膨隆の訴えがあり,CTにて右鼠径部に脂肪濃度の腫瘤を認めた.改めて術前腹臥位CTを見返すと,右鼠経ヘルニアは膀胱周囲の腹膜前脂肪が滑脱した滑脱型の外鼠経ヘルニアであった.それにも関わらず通常のTEPと同様に内鼠径輪の高さでヘルニア嚢を結紮したため,右鼠径部にヘルニアの先進部となった腹膜前脂肪が遺残したことが疑われた.術後2日目に前方アプローチで鼠径管内に遺残した脂肪組織を摘出した.脂肪組織は滑脱した腹膜前脂肪とヘルニア嚢断端で構成されていた.滑脱型の外鼠経ヘルニアに対しTEPを施行するも,滑脱していた腹膜前脂肪が残存し,前方アプローチによる再手術で摘出した症例を報告する.