日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-089
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3. 社会・文化
保育職への適応―保育系実習の予期せぬ現実体験と学習成果の関連から―
*設楽 紗英子
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抄録

問題と目的:保育系実習は,保育現場の理解と総合的な保育実践力の醸成を目標としている。学生たちは実習で予期せぬ現実体験(松田ら,2016)をし,教室における学習と連環的に学習を深めていく。本研究では,予期せぬ現実体験と大学の学習成果,職業継続の関連を検討する。

方法:2018年3月と2020年1月に,A短大の2年生(女性,270名)を対象に質問紙調査(予期せぬ現実尺度より保育現場の体感(体感)と子どもとの関わりの難しさ(困難),職業継続(小平(2011)より),学習成果(A短大の評価項目。因子分析により4因子を抽出:専門知識,適性,子ども理解,実戦力))を実施し,217名が分析対象者となった。

結果と考察:まず,予期せぬ現実について階層的クラスター分析を行い,抽出された3クラスター(困難低群(A:N=100),困難高群(B:N=104),体感低群(C:N=13))を独立変数,学習成果と職業継続を従属変数とし,分散分析を行った。その結果,どの変数も,A>B>Cである中,BとCの間で専門知識と実戦力に有意差がなく,AとBの間で職業継続に有意差がなかった。①体験を通し反省的に学ぶ力,②困難の省察のあり方などに配慮が必要であると考察された。

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