主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究は,現代的ないじめの発生形態である「空気」を読むことの失敗に起因したいじめの発生を問題とし,①「空気」を読むことに失敗した人物への行動パターンを分類すること,②異質な他者への態度およびその人物への親密度が行動パターンに与える影響を検討することの二つを目的とした。調査では,大学生207名(平均年齢19.80歳,SD=1.52)に対する質問紙調査を行った。「空気」を読むことの失敗に対する行動パターンを,クラスタ分析を用いて分類した結果,「言及型」「排除型」「傍観型」「受容型」の4つに分類された。異質な他者への態度との関連については,異質な他者への拒絶傾向と異質に見られることの不安が,どちらも「排除型」「傍観型」のパターンに正の影響を与えていた。さらに,親密度の低い人物に対しては,「言及型」「排除型」の行動パターンをとりやすい傾向が明らかになった。これらの結果から,現代的ないじめの発生形態が,集団からの排除を中心とする形と,積極的に言及を繰り返す形の二つに類型化される可能性が示唆された。さらに,他者への拒絶的な態度や友人集団に抱く不安により,排除型のいじめが発生する確率が高まる危険性が推察された。