日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-149
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3. 社会・文化
単独行動への躊躇と社会的問題についての思考力の関係
*林 幹也
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抄録

一般的に言って,集団での行動の際には,自らがリーダーとならない限りは行動に必要な意思決定を他者に委ねることが可能であるため,単独行動に比べれば個人として意思決定を行う機会は減少すると思われる。それゆえ,単独行動を躊躇する人々は,単独行動を好む(あるいは躊躇しない)人々に比べて,様々な問題に対する思考力に乏しい可能性があるのではないかと考えた。そこで本研究は20代から50代までの回答者に対して,林・竹村・井出野(2017)の命題評価課題を使用して社会問題への思考力を測定するとともに,単独行動に対する躊躇(およびその他の集団行動・単独行動に関連する特性)をリッカート尺度によって測定し,それらの相関関係を検討した(N=416)。その結果,本研究の予想に一致して,単独行動への躊躇が強いほど,社会問題についての思考力が低いことが明らかになった(r=-.17, p<.001)。同様に,孤独に対して否定的な態度を持っているほど,社会問題についての思考力が低いことが明らかになった(r=-.19, p<.001)。しかしながら以上の相関関係は比較的弱く,変数間の関係に影響を及ぼす調整変数の検討が必要であることが明らかになった。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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