主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究では,大学生の過剰適応傾向と統合的葛藤解決スキルとの関連性及び,それらが抑うつに与える影響について検討することを目的とした。大学生299名(男性98,女性201)を対象に質問紙調査を実施し,過剰適応傾向,統合的葛藤解決スキル,抑うつについて測定した。共分散構造分析の結果,過剰適応傾向の外的適応が内的不適応を高め,内的不適応が抑うつを高めることが示されたことから,過剰適応者は,自身の感情を抑えることや自分らしさの喪失といった内的適応の不全が抑うつなどの精神的健康に影響を与えていることが再確認された。一方,統合的葛藤解決スキルは,過剰適応傾向の内的不適応を低減させるが,同時に外的適応を高めることが示された。また,クラスター分析により得られた過剰適応傾向群では,統合的葛藤解決スキルの高さの違いによって抑うつ得点に差が見られず,統合的葛藤解決スキルは必ずしも過剰適応者の抑うつを抑制するとは限らないことが分かった。このことから過剰適応傾向という状態においては,外的適応と内的適応のバランスが重要であることが示唆された。今後の課題として,質問紙調査以外で過剰適応傾向を測定する方法の検討が挙げられる。
連名発表者追加
(正)
西山 薫(北星学園大学)