日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-043
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4. 臨床・障害
発達障害傾向のあるドライバーの運転特性―当事者やその家族へのヒアリング調査より―
*西館 有沙水野 智美徳田 克己
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抄録

本稿では,発達障害傾向のあるドライバーが,障害特性によって車の運転にどのような問題を感じているのかを明らかにすることを目的とし,自閉症スペクトラムやADHD衝動型,ADHD不注意型の傾向のあるドライバー5名と,それらの特性がある人の家族3名を対象に個別の半構造化面接を行った。

自閉症スペクトラムがある場合,後進での車庫入れ時の車の動きやカーブミラーに映る車両位置を想像できない,右折や合流のタイミングがわからない,車体感覚が身につかず縁石への乗り上げを繰り返す,マルチタスクの苦手さや注意視野の狭さによって周囲の人や信号を見落とすことが挙げられた。また,慣れない道の走行を苦手とする者や他の車両が出すサインに混乱する者,規則を忠実に守ろうとする者がいた。ADHD衝動型がある場合,必要な手順をふまずに発進する,急な右左折や停止をする,運転中に気になることがあるとそれをしなければ気がすまない,慎重さに欠けるため車体をぶつけてしまうということが挙がった。ADHD不注意型がある場合,うっかりミスが多い,運転から気がそれやすい,いつもと違う状況に焦るとミスが起こりやすいということが挙げられた。

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